蓄電池を「預ける」とポイントがもらえる?家庭用蓄電池のVPP・DR制御サービス比較【2026年最新】

「せっかく蓄電池をつけたのに、置いてあるだけ」——そんな声をよく聞きます。

でも実は今、自宅の蓄電池を電力会社に「預ける」ことで、ポイントがもらえるサービスが広がっています。難しそうに聞こえますが、やることは申し込みだけ。あとは電力会社が遠隔で充電・放電してくれます。

この記事では、実際にどんなサービスがあって、いくらもらえて、どんな注意点があるのかを、各社の公式サイト・約款・要項をひとつずつ確認しながら整理しました。

目次

この記事でわかること

  • 蓄電池を預けてポイントがもらえる仕組み(VPP・DRとは何か)
  • 主要サービスで実際にもらえる金額
  • 自分の蓄電池が対象かどうかの調べ方
  • 申し込む前に知っておきたい注意点
  • 2026年以降にどう変わるのか

1. そもそも、どういう仕組み?

電気は「ためておけない」から困っている

電気は、使う量と作る量をつねにぴったり合わせないといけません。多すぎても少なすぎても、大規模停電のもとになります。

ところが最近は太陽光発電が増えて、晴れた日の昼間は電気が余りすぎる夕方になると急に足りなくなるという日が増えました。2026年3月には、首都圏でも初めて太陽光の出力制御が行われています。

そこで、みんなの蓄電池を借りる

そこで登場したのが、家庭の蓄電池をたくさん集めて、まとめてひとつの発電所のように動かす仕組み。これを VPP(バーチャルパワープラント=仮想発電所) と呼びます。

電力が余っている昼間電力が足りない夕方〜夜
各家庭の蓄電池に充電してもらう(上げDR)蓄電池から放電してもらう(下げDR)
家庭用蓄電池のVPPの仕組み。昼間は太陽光の電気を蓄電池に充電し、夕方は蓄電池から放電する
昼と夕方で蓄電池の役割が入れ替わります

このとき、家庭側は何もしません。電力会社がインターネット経由で遠隔操作します。協力するかわりにポイントがもらえる、というのが今回のテーマです。

DRって何?

デマンドレスポンス(Demand Response)の略で、「電気を使う側が使い方を調整して、需給バランスを整えること」。VPPを実現するための具体的な行動がDR、というイメージでOKです。

2. 主要サービス比較【2026年8月時点】

東京電力EP
機器制御オプション
東京ガス
蓄電池ネットワークサービス
東北電力
機器制御型ecoチャレンジ
エリア関東東京ガスの電気の供給エリア東北・新潟
対象機器蓄電池・エコキュート蓄電池蓄電池・エコキュート
利用料0円0円0円
継続してもらえる分蓄電池:毎月定額100ポイント
エコキュート:制御1回25ポイント
月200ポイント
(※適用条件は下記参照)
エコキュート:創出電力量1kWhあたり1ポイント以上
参加特典1,000ポイント
(2027年2月5日申込分まで)
公表資料では確認できず3,000ポイント
(公式サイト上では5,000ポイントの案内も)
東京都民の追加特典別途4,000ポイント
ポイントの種類くらしTEPCOポイントパッチョポイント
(一部プランはデジタルギフト)
よりそうeポイント
もらえる時期制御月の翌々月下旬ごろ四半期ごと各社案内による

北陸電力も「Easyキュート」「Easyソーラー」というリース型サービスのオプションとしてDRを提供しており、エコキュートのリース料金が月額550円割引になるほか、ほくリンクポイントが年間最大2,000pt進呈されます。ただし機器のリース契約が前提です。

正直に言うと、継続してもらえる金額は大きくありません

東京電力EPの蓄電池なら年1,200円相当。「思ったより少ない」と感じた方が多いのではないでしょうか。

これは、家庭用蓄電池を使ったVPPがまだ立ち上がったばかりで、電力会社側もそれほど大きな収益を得られていないためです。逆に言えば、今後もらえる額が増えていく可能性が高い分野でもあります(詳しくは第6章)。

毎年もらえるポイントは年約1,200円相当、購入時の補助金上乗せは10万円以上
棒の長さの差がそのまま金額の差です

3. サービス別のくわしい中身

① 東京電力EP「エコ・省エネチャレンジ 機器制御オプション」

2024年6月に始まった、関東エリア向けのサービス。3社のなかでもっとも金額の条件がはっきり公開されているのがここです。

もらえるポイント

機器特典
家庭用蓄電池制御期間中、毎月定額100くらしTEPCOポイント
エコキュート制御1回あたり25くらしTEPCOポイント

エコキュートは制御の回数に応じてもらえるので、制御が多い月ほど多くなります。

2026年7月8日〜2027年2月5日の申込で1,000ポイント

新規参加者向けの特別進呈キャンペーンを実施中。2027年2月28日までに機器の通信確認が完了した方が対象で、おひとりさま1回限りです。

東京都にお住まいなら、さらに4,000ポイント

東京都の補助金により、別途4,000くらしTEPCOポイントを獲得できる場合があります。

対応している蓄電池メーカー(6ブランド)

メーカー別途必要なサービス
ニチコン(ESS-U2/U3/U4、H1/H2、T1/T2/T3/T5/T6シリーズ)ニチコンオーナーズ倶楽部 見守りサービス
オムロン ソーシアルソリューションズ(KP-BUシリーズ)遠隔モニタリングサービス
スマートソーラー(SHY5512、SST4012、SMP5510ほか)なし
SMART STARシリーズ(LL3098HOS、LL5130HOSほか)グリッドシェアサービス(有償の場合あり)
シャープ(JH-WBシリーズ)COCORO ENERGY+電力モニタ・HEMS
長州産業(CB-LMPシリーズ)遠隔モニタリングサービス

エコキュートはダイキン・パナソニック・三菱電機の対象モデルが使えます。

2026年7月から、太陽光があるお宅もエコキュートで参加できるように

以前は制限がありましたが、2026年7月1日から太陽光発電設備の設置有無を問わず参加できるようになりました。

電気代が上がってしまわない?

昼間に沸き上げたり充電したりすると、夜間が安いプランの方は電気代が高くなる可能性があります。この点について東京電力EPは、電気料金の上昇分を考慮したポイント数にしていると説明しています。ただし「使用状況によっては進呈ポイントが上昇分を下回る可能性がある」とも明記されています。

② 東京ガス「蓄電池ネットワークサービス」

すでに蓄電池を持っている方も、これから買う方も申し込めます(約款上、対象設備を「所有または新たに購入すること」が条件)。利用料はかかりません。

ポイントについては注意が必要です

東京ガスが公開している「蓄電池ネットワークサービスのポイントに関する要項」は、2025年4月30日までに「IGNITURE蓄電池サービス」に加入済みだった方が対象と明記されています。この方々には、電気料金メニューに応じて1か月あたり200パッチョポイント(時間帯別プラン・さすてな電気の場合は200円相当のデジタルギフト)が四半期ごとに進呈されます。

一方、2025年5月以降に新しく申し込む方のポイント条件は、公開資料では確認できませんでした。 約款には「別に定める付与条件に基づき、ポイント等を付与することがあります」とあるのみです。申し込み前に東京ガスへ直接確認することをおすすめします。

対応している蓄電池メーカー(6社)

メーカー対象シリーズ別途必要なサービス
オムロン ソーシアルソリューションズKPBP-Aシリーズ遠隔モニタリングサービス
ニチコンESS-U2〜U5、H1/H2、T1/T2/T3/T5/T6、E1ニチコンオーナーズ倶楽部 見守りサービス
京セラEGS-LM/EGS-MCシリーズハウスマイルネットワーク
シャープエネルギーソリューションJH-WBPDシリーズCOCORO ENERGY/COCORO MEMBERS+電力モニタ・HEMS
スマートソーラーSHY5512/SST4012シリーズなし
長州産業Smart PV multi シリーズ遠隔モニタリングサービス

注意:V2Hがあると対象外になることがあります

ニチコンのESS-T3・T5・T6、およびシャープの蓄電池は、V2H(電気自動車と家をつなぐ機器)が一緒についている場合は対象外です。

卒FITの方には別の特約も

FITの買取期間(10年)が終わったご家庭は、「卒FIT逆潮流特約」をつけると、蓄電池からの電気を東京ガスが買い取る形にもできます。この場合は東京ガスの「太陽光電力買取サービス」の契約もセットになります。

③ 東北電力「機器制御型ecoチャレンジ」

2024年10月から通年で実施。蓄電池とエコキュートの両方が対象です。

  • 蓄電池(下げDR): 充電・放電の時間などを東北電力または協業先が遠隔制御。参加特典としてよりそうeポイントを進呈
  • エコキュート(上げDR): 沸き上げ時間の一部を夜間から指定時間帯へ移行。創出した電力量1kWhあたり1ポイント以上、さらに参加特典あり

参加特典の金額は、2024年10月のサービス開始時の発表では3,000ポイントでしたが、公式サイト上では5,000ポイントという案内も見られます。最新の金額は公式サイトでご確認ください。

「よりそうeねっと」への登録と「東北電力ecoチャレンジアプリ」のダウンロードが必要です。なお東北電力は「お客さまの電気料金を削減する取り組みではありません」と明記しています。

④ 東京都の「DR実証」に参加する(都内在住の方)

東京都は、家庭の蓄電池を束ねる事業者(アグリゲーター)を登録・公表し、その事業者と契約してDR実証に参加する家庭を支援しています。すでに蓄電池を設置済みの家庭へのポイント付与も、2026年2月に拡充されました。登録アグリゲーターの一覧は、クール・ネット東京の「DR実証ポータルサイト」で公開されています。

令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業(新しく買う方向け)

項目金額
基本の助成蓄電容量×10万円/kWh(DR実証に参加しない場合は上限120万円/戸)
DR実証に参加+エネマネ/IoT機器を設置+10万円、さらに機器1台あたり+15万円
DR実証に参加(端末レスDR等で機器設置なし)+10万円、さらに1台あたり+10万円

順番に注意!

蓄電池の交付申請より前にDR実証契約を結ぶ必要があります。順番を間違えると上乗せ分が受け取れません。

⑤ 国のDR補助金(2026年度は終了)

国の家庭用蓄電池向け補助金はDRへの参加が交付条件になっていますが、2026年度は5月29日に予算上限に達して受付終了しています。2027年度の公募を狙う場合は、春先の情報チェックが必須です。

4. 申し込む前に知っておきたい注意点

① 蓄電池が「自分の思い通り」には動かなくなる

これがいちばん大きなポイントです。東京ガスの約款には、遠隔制御によってあらかじめ設定した運転計画と異なる運転になることがあると明記されており、それによる損害の責任は負わないとされています。

東京電力EPも、制御時間や制御結果の事前・事後の通知は行わず、日時を指定して制御を止めることもできないとしています。

ただし東京電力EPの場合、蓄電池に最低確保容量が設定されていれば、遠隔制御でそれを下回ることはないとされており、停電への備えが完全になくなるわけではありません。

② 運転モードを固定する必要がある

東京電力EPでは、蓄電池の運転モードを「グリーンモード」または「自家消費モード」に設定し、制御期間中は変更しないよう求められます(SMART STARシリーズは不要、シャープ製は制御期間中モード変更ができません)。東京ガスでも、HEMSの独自制御は原則オフにすることが条件です。

③ 増えた電気代の扱いは会社によって違う

考え方
東京電力EP電気料金の上昇分を考慮したポイント数(ただし下回る可能性あり)
東京ガス遠隔制御にともなって増加する光熱費はお客さま負担。通信費・インターネット接続料も自己負担
東北電力電気料金を削減する取り組みではないと明記

④ やめるときにすぐ止まらない

東京電力EPは参加終了を申し込んでも、手続き完了までに2か月程度は制御が続く可能性があります。東京ガスはさらに厳しく、3か月前までの申し出が必要で、申し出から解約完了までの最大1か月半は制御が継続します。

また国や自治体の補助金を使って参加している場合、指定期間中の途中解約は補助金の返還につながることがあります。

⑤ 参加できない住まいもある

東京電力EPの場合、高圧一括受電のマンションは参加できません。また通信機能を持つスマートメーターが必要です。賃貸住宅は申し込めますが、機器の所有者が契約者と異なる場合は所有者の同意が必要です。

⑥ 常時ネット接続を保つ義務がある

蓄電池の電源を切らず、ネットワークにつないだ状態を保つのが参加条件です。遠隔制御できない状態が続くと、参加終了になったり、補助金の返還が必要になったりすることがあります。

5. あなたはどのタイプ?

すでに蓄電池を設置済みの方 → まずはご自宅の蓄電池メーカー・型番が対応リストにあるか確認を。ニチコン、オムロン、スマートソーラー、シャープ、長州産業あたりは複数社に対応しています。年1,200円程度でも「タダでもらえるおまけ」と考えれば十分プラスです。

これから蓄電池を買う方 → 継続ポイントより、導入時の補助金上乗せのほうが金額が圧倒的に大きい(都の+10万円〜、国の補助金など)。買うタイミングでDR参加を前提に動くのが正解です。申請の順番にご注意を。

エコキュートだけある方 → 東京電力EP(関東)と東北電力(東北・新潟)なら参加できます。東京電力EPは2026年7月から太陽光がある家庭も対象になりました。

とにかく蓄電池を自分の思い通りに使いたい方 → 参加は見送りましょう。年1,200円程度のために自由度を手放す価値があるかは、人によります。

6. 2026年は「低圧VPP元年」——これから増える可能性

今の報酬が控えめなのには理由があります。これまで家庭の蓄電池は、電力市場で正式に取引できなかったのです。

それが2026年度から、家庭用蓄電池やEV、エコキュートなどの「低圧リソース」も需給調整市場に参加できるようになりました。さらに2027年度からは容量市場での本格運用も始まります。

つまり、電力会社が家庭の蓄電池を使って実際に市場で収益を上げられるようになるということ。その収益の一部が家庭に還元される形になれば、報酬メニューは今より充実していくと考えられます。

すでに東京ガス、東京電力EP、東北電力、北陸電力、北海道電力などが低圧VPPの体制を整えており、参加できる地域も広がっています。今のうちに「対応する蓄電池」を選んでおくことが、数年後の差になるかもしれません。

まとめ

  • 家庭の蓄電池を電力会社に預けてポイントをもらうサービスは、すでに実在する
  • 継続報酬は蓄電池で月100ポイント程度が現在の相場。大きくはない
  • 金額のインパクトが大きいのは、購入時の補助金上乗せ(都の+10万円〜、国の補助金など)
  • 参加条件として「思い通りに動かせなくなる」「やめても2〜3か月は制御が続く」などの制約がある
  • 2026年度の市場開放で、今後は報酬が拡大していく可能性

ご自宅の蓄電池が対象かどうか、どのサービスが向いているかは、機器のメーカー・型番と、お住まいのエリア・契約中の電力会社によって変わります。オシデンキのVPP診断では、いくつかの質問に答えるだけで参加できるサービスを絞り込めますので、あわせてご活用ください。

よくある質問

Q. 蓄電池が勝手に空になってしまうことはありますか? A. 東京電力EPの場合、蓄電池に最低確保容量が設定されていれば、遠隔制御によってそれを下回ることはないとされています。ただし状況によって残量が少なくなることはあります。東京ガスの約款では「あらかじめ設定した運転計画と異なる運転になることがある」とされています。

Q. 停電のときも遠隔制御されますか? A. 東京電力EPは、自宅が停電しているときは基本的に遠隔制御を行わないとしています。

Q. 途中でやめられますか? A. やめられますが、すぐには止まりません。東京電力EPは手続き完了まで2か月程度、東京ガスは3か月前までの申し出が必要で申し出から最大1か月半は制御が続きます。また補助金を使って参加している場合、指定期間中の途中解約は補助金の返還につながることがあります。

Q. 電気代は上がりませんか? A. 昼間に充電・沸き上げをする制御が入ると、夜間の単価が安いプランでは電気代が上がる可能性があります。東京電力EPは上昇分を考慮したポイント数にしていると説明していますが、使用状況によってはポイントが上昇分を下回る可能性も明記されています。東京ガスは増加分をお客さま負担としています。

Q. 蓄電池の寿命は縮みませんか? A. 東京電力EPは、充電・放電の回数が大きく変化することはなく、制御はメーカー保証条件の範囲内で実施しているため、劣化に大きく影響することはないと想定していると説明しています。

Q. 複数のサービスに申し込めますか? A. 1台の蓄電池を複数のサービスに登録することは想定されていません。東京ガスの約款でも、1つの対象設備で既に申込手続きが完了していると判断される場合は申し込みを承諾しないことがあるとされています。

Q. 太陽光発電がなくても参加できますか? A. できます。東京電力EPは蓄電池・エコキュートとも太陽光の設置有無を問わず申し込み可能です。ただし蓄電池は太陽光がある前提での制御となるため、太陽光がない場合は進呈ポイントが電気料金の上昇分を下回る可能性があるとされています。

出典

  • 東京電力エナジーパートナー「エコ・省エネチャレンジ 機器制御オプション」公式ページ/同 お知らせ「対象拡大ならびに1,000ポイント特別進呈キャンペーンの実施について」(2026年7月7日)/同 プレスリリース「対象機器にエコキュートを追加」(2025年11月4日)
  • 東京ガス「蓄電池ネットワークサービス約款」「蓄電池ネットワークサービスのポイントに関する要項」「蓄電池制御サービス約款」「蓄電池制御サービスのポイントに関する要項」
  • 東北電力「東北電力ecoチャレンジ」公式ページ/同 プレスリリース「新たなデマンドレスポンスサービスの開始について」(2024年9月26日)
  • 北陸電力「北陸電力のDRサービス」公式ページ
  • クール・ネット東京「令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業」/東京都「上乗せ補助やポイント付与 アグリゲーションビジネス実装」(2026年2月18日)

※本記事の情報は2026年8月時点のものです。各サービスの内容・特典は予告なく変更される場合がありますので、お申し込み前に必ず公式サイトをご確認ください。

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